バイオファン(耕水機)
バイオファンの理念
物理学の天衣無縫の技術から生まれた
バイオファン【耕水機】
科学が築いた文明を大樹にたとえると、物理学は、地中に張り巡らされた樹根である。この根の広がりが、大樹の威容に反映されているものであるが、工学の分野では、見映えのする開花と結実に目を奪われて、地にうずもれて目立たない物理学を軽視する向きがある。バイオファンは、こうした傾向に警鐘を鳴らす教材として、工業大学における物理学教育の振興に活用されたものであった。
工学の手法、つまり、技術に技術を重ねる「技術の足し算」には限界がある。技術の足し算で手を尽くしたが、少し広い池になると浄化は無理、打つ手がない、というのが水処理業界の定説であった。しかし、技術を駆使しないで、すべての無駄を省いて、自然の法則と原理に頼るバイオファンによると話は別で、湖沼でも入り海でも省エネで浄化して、宝の漁場に変えることもできる。この物理学の「技術の引き算」の効果を実証する実験を通じて、物理学と工学の違いを印象づけるのが実践教育の狙いであった。
ところが日本では、因習の厚い壁に阻まれて、実証実験は許されない。悪戦苦闘つづきの二十年、黎明を告げたのは中国であった。「珠海風光耕水環保技術有限公司」が大変な労力と費用を役じて、バイオファンの開発と普及に努めて四年経過後の、2009年度の1年間の販売実績が、1413台に達したとのうれしい知らせがあった。これは物理教育振興の問題に限ったことではない。この朗報の数字は、バイオファンの未来への羽ばたきの序奏を意味するものである。
星霜二十年、武蔵工業大学で、およそ3000人の若者が、バイオファンを基軸にして物理学を学んだ計算である。実証が得られない、永年にわたる実践教育であった。しかしこれに対して、疑問や不平不満を漏らす学生は一人もいなかった。希望に輝いた学生たちであった。寛大であった。やさしく誠実であった。バイオファンを支えて育てたのは、みんなで共有し合ったスローガン"物理学は技術者の身だしなみ、本物の技術者なら、燃えろ、耐えろ、やさしく誠実で、心身ともに健康であれ"の精神であった。
見誤らないで欲しい。バイオファンは、水を耕すただの道具にすぎない。働く場所を求める若者や中高年世代に、生きる希望を与えるごとのできるのは、バイオファンに込められた精魂である。中国のように、精魂込めて、みんなで力を合わせて取り組んで欲しい。水を耕す技術(耕水原理)の開発と普及の意義をよく理解して欲しい。
耕水原理は、省エネで、水の浄化と漁業の復興を図り、地域を興して国を興す技術で、水資源・食料・エネルギー・地球環境問題にかかわる、21世紀の未来技術である。