耕水原理
耕水原理のメカニズム
- ・水底の水は、富士山の形をした流管の内部を流れて上昇する。内部の水は、流管の壁を通して外に流出しない。また、外部の水が内部に流入することもない。
- ・水中に浮遊している大腸菌や動物プランクトンは、紫外線を嫌って値物プランクトンと一緒にフロック化する。生態系が回復してフロックの捕食が盛んになると、水の透明度も輝きも増して、風景が水面にくっきりと映えるようになる。
- ・水底に形成された濾過床と、水生生物が必要とする酸素のおよそ90%は、光合成によるものである。従来の曝気方式は、広い池や湖沼には全く通用しない。
- ・水底に生じた層流のローテーション効果で、底泥に酸素が供給され、プランクトンの生産が盛んになると、エル卜ンのピラミッドが形成されて食物連鎖に拍車がかかる。富栄養化で腐敗した水域は大漁場に生まれ変り、水も自然に浄化されていくようになる。
- ・pHは呼吸と光合成のパランスの指標である。光合成が進行して水中のC02が低下すると、炭酸温度が減少してpHが高くなり、逆に、呼吸が盛んになって、C02が増えて、炭酸濃度が高くなるとpHは低くなる。パイオファンで水を耕すと、pHは、高いところから低くなる方向に移行して7に近づくが、これは、池や湖沼が活きて呼吸を始めたことの現われで、生態系が回復し始めたことの証である。
風の働き
水と外気との接触の促進
水面に波を起こして、表層水と外気との接触を高める。
溶存酸素の向上
波で水中に酸素を取り込み、表層水の溶存酸素濃度を高める。
水の悪臭の除去
微生物の働きで低分子化した有機成分を水から飛ばして、水の臭気を除去する。
水面の浮遊物の清掃
光合成で生じた酸素の気泡が付着して、水面に浮上した微生物のフロックを払い、水面をきれいに掃いて磨く。
岸に吹き溜ったフロックは、カモやアヒル、魚介類の恰好の餌で、水生生物が増えて餌の消費が盛んになると、フロックは自然に消滅する。
太陽の働き
植物プランクトンの増殖(可視光)
水中のリン・窒素をプランクトンに固定して、水を浄化する。
光合成による酸素の生産(可視光)
水底に発生した好気性微生物と水生生物が要求する酸素を生産して生態系を護る。
微生物のフロック化(紫外線)
フロック化で、微生物が、水質改善材や水生生物の増殖材として活かされる。
化学と生物学的分解作用(紫外線)
大腸菌・悪玉菌の排除(紫外線)
水底の働き
ヘドロのプランクトン化
水底をはうように流れる層流のロテーション効果で、水底はプランクトンを生産する畑に変り、ヘドロは、この畑の肥料としてプランクトンの生産に有効利用され、魚介類の餌になって消滅する。
水質の改善
水に溶けているリン・窒素も、水底の畑でプランクトンになり、魚介類の餌となって水から排除される。
アオコの防止
ヘドロの表面が好気性微生物で覆い尽くされて、水底がプランクトンを生産する畑になると、アオコの発生は自然に抑制される。
透明度の改善
水底が活きて、水生生物が増えて食物連鎖が盛んになると、水中のフロックも餌になって減少し、透明度も次第に改善されていく。
《参考資料》
1ヘクタールの水域が1日に光合成で生産する酸素量 200[Kg/日]~300[Kg/日]