バイオファンが引き起こす流れの理論

流れが及ぶ範囲の解析

 (1-1)式の角速度で羽根を静かに回すと、水底の水は、水底に境界層を形成しながら、湧昇流の起点に遠方から集まって来る。流れを妨げる障壁の無い、開放された広い水域に浮かべたとき、パイオファンに引き寄せられる流れが及ぶ範囲の面積 S0は下記の式で表わされる。

S0 = πr02 = k1 { (19R4E/μρ) (E-0.081ερ) }2/3(2-1)

ただし

E = { (ερ/R)2 ηP }1/3

  • S0;活性化される水底の面積 [m²]
  • r0;効果が現われる限界点までの距離 [m]
  • ηP;水掻き羽根を回すパワー(電力) [W]
  • R;水掻き羽根の長さ [m]
  • μ;水の粘性率 1.002×10-3 [Kg/m・s]
  • ε;水掻き羽根の形状係数
  • ρ;水の密度 [Kg/m³]
  • k1;活性化面積補正係数

 k1は、理論式で得られた結果と、実測値との違いを補正する係数である。±5%以内、つまり、k1は 1.05~0.95 程度の数値になると思われるが、まだ実験で確認されていない。
 k1=1.0として、下記の数値を、(2-1)式に代入して、90W型のバイオファンで得られる活性化面積を計算してみる。
R = 1.9 [m] ε = 0.941 ρ = 996.4 [Kg/m³]
P = 73.3 [W] μ = 1.00×10-3 [Kg/m・s]
活性化面積 → S0 = πr02 = 5.3×104m2 = 5.3ha
と算出された。
 現時点で、実測されている活性化面積は、3.2haであるが、これは流れを妨げる障壁のある池で行なった結果である。開放された広い水域に浮かべた場合は、実測値がもっと広くなって、計算値の5.3haに近づくはずである。
 k1がどうなるか、これは今後の宿題である。